Jリートで不動産投資に興味を持ったあなた、でも、どの銘柄を選んだら良いのでしょう。
「個別に銘柄を選ぶのは面倒だわ。でも、不動産投資はJリートでやりたい。」
「一般の投資信託は、販売手数料とか、信託報酬が高過ぎて、投資する気になれないよ。」
「コストの安いインデックスファンドでいいんじゃない。」
「ETFって、よく聞くけど。」
ETFとインデックスファンド
Jリートへの投資は、何も個別銘柄(投資法人)を選んで投資するやり方だけではありません。
いや、むしろ、複数の銘柄を組み込んで、代わりに運用してくれる「投資信託」の方が一般的かも知れません。
しかし、投資信託も、無料で運用してくれるわけではなく、販売手数料や信託報酬などの、コストが高いのが難点です。アクティブファンドと呼ばれる一般的な投資信託は、一般的にコストが高く、ここでは除外して考えます。
一方で、コストを安く抑えたインデックスファンドという投資信託も存在します。これらのインデックスファンドは、指数(東証REIT指数など)に連動させるように運用することで、銘柄選別などをシンプルにして、安いコストでの運用を実現しています。
また、投資信託の一種で、「ETF」というものも存在します。
ETFとは、「Exchange Traded Funds」の略で、「上場投資信託」と呼ばれています。一般の投資信託とは違い、東証などの取引所に上場している投資信託で、通常の株式と同じように売買できるのが特徴です。このETFも、東証REIT指数などの指数に連動させる運用をしており、信託報酬などのコストが安く設定されています。
個別銘柄 vs ETF or インデックスファンド
ここでは、個別のJリート銘柄に投資するのが良いのか、ETF、あるいは、インデックスファンドで投資するのが良いのか、各々の特性と違いを見てきましょう。
取引方法・価格
ETFでは、通常の個別銘柄投資と同じで、株式市場で指値/成行注文することになります。価格は、市場でリアルタイムに変動します。
インデックスファンドの場合は、基準価額が1日1回算出されます。販売会社に購入を申し込んで、通常は翌営業日の基準価額での購入となります。
「あ、今日は市場全体が暴落してて、株価が安いから、買おう。」と、なったところで、個別銘柄やETFであれば、その場で成行・指値注文で買えますが、インデックスファンドの場合、翌営業日での買い付けになるため、買付注文を入れたはいいけど、翌日に大きくリバウンドして、それほど安い値段では買えなかったと言うケースも良くあるのです。
また、株式市場でのトレードに慣れている方はETFの売買も容易いことでしょう。逆に、そのような方は、その技量を活かして、個別のJリート銘柄に投資すれば良いという見方もできます。
買付・売却コスト
ETFは、通常の株式と同じで、証券会社により異なりますが、株式市場での売買手数料が必要です。ネット証券とかですと、手数料も安いので、それを気にしても仕方のないことでしょう。逆に、「この値段でなら買っても良い」と言う値段で指値出来るメリットもあることでしょう。
インデックスファンドの場合は、その種類によりますが、販売会社が決めた手数料が必要なものと、手数料を取らないノーロード型と言われるファンドもあります。また、売却・解約時に信託財産留保額や換金手数料がかかる場合があります。買付・売却コストがゼロ、つまり、購入時手数料も、換金時手数料も、信託財産留保額も取らないインデックスファンドも存在します。ただ、どこかで「実質的なコスト」と言うものが発生するわけで、しっかり取られていたりするものです。
投資信託の場合は、このあたり、複雑なので、よく理解して、検討する必要があるでしょう。
信託報酬
ETFにも、インデックスファンドにも、信託報酬があります。
この信託報酬ですが、買付・売却コストのような一回きりのコストではなく、保有している限り、長期に渡り永遠に差し引かれます。信託報酬は通常、年間で何パーセントとかで表記されますが、実は、毎日、信託財産から差し引かれています。いつ引かれているかと言うと、投資信託の値段である「基準価額」が更新される際に差し引かれているのです。
また、信託報酬は、各ETFやインデックスファンドの種類により、それぞれ異なりますので、それぞれ確認して比較、検討するようにしましょう。
通常の個別銘柄での株式投資では、自分で運用(保有)するわけですから、当然ながら、信託報酬は掛かりません。これが、個別銘柄で投資する大きな理由の1つです。信託報酬は、例えば、年間0.25%だとして、リートの利回りがわずか数パーセントですから、そこから0.25%差し引かれるようなものです。この信託報酬を運用手間賃だと考えるか、自分で銘柄を選んで運用するかは、人により考えが異なることでしょう。
以下のページでは、比較的利回りの高いETFの分配金利回り、信託報酬などが一覧で見れます。投資対象がJリートのETFを参照して下さい。
分配金再投資
ETFや個別銘柄投資では、分配金を自動で再投資することはできません。インデックスファンドでは、分配金を受け取るものと、自動で再投資するものが存在します。分配金を自動で再投資したい場合は、インデックスファンドの選択となることでしょう。ETFや個別銘柄投資でも、受け取った分配金を手動で再投資することは出来ますが、一旦分配金として受け取ると税金が掛かり、残った金額で再投資することになりますので、必ず再投資するのであれば、インデックスファンドで再投資を選んだ方が有利になります。
タコ足分配
投資信託の中には、それがインデックスファンドであれど、いわゆる「タコ足分配」と呼ばれるもので、元本を取り崩してまで分配金として支払われるものも存在します。これは、ファンドの種類と運用方針にも寄りますので、全てのファンドが「タコ足分配」を行っているわけではありませんが、注意が必要でしょう。
ETFでは、「タコ足分配」は出来ないようになっています。このために、ETFでの投資を好む投資家も沢山いらっしゃるのです。
定額投資や積み立て
個別銘柄投資では、売買の単位が1口単位で、また、投資口価格(株価)も相応の値段がします。ETFも株価は低いですが、売買単位が決まっていて、例えば、5万円と言うような定額金額での売買は出来ません。
この点、インデックスファンドは、5万円分購入とか出来ます。また、毎月1万円分とかの、定額積み立て購入が出来るのも、インデックスファンドならではと言えましょう。そもそも、インデックスファンドとは、そういった、定額積み立てなどの、投資方法に向いている商品なので、当然と言えば、当然ですが。
指数連動と組み入れ銘柄
ETFとインデックスファンドは、東証REIT指数などの指数に連動するように、各銘柄が相応の配分で、組み込まれて運用されます。これは、Jリートの全体に投資することであり、市場平均を買うことになります。
一方で、個別銘柄投資では、自分で銘柄を組み合わせることが出来るので、お気に入りの物件を保有する銘柄や、特定の用途や地域に投資する銘柄を、保有して運用することが出来ます。これが、個別銘柄で投資する大きな理由の1つです。
東証REIT指数、つまり、Jリート全体に投資すると、必然的に、用途としてはオフィスに偏ることになり、地域としては圧倒的に東京が中心となってしまいます。
以下のサイトで、Jリート全体の用途別比率と地域別比率が見れますので、ご参考に。
・J-REIT保有不動産の用途別比率
・J-REIT保有不動産の所在地別比率
したがって、Jリートでの投資理由が、大家さん的に賃貸住宅に投資したいとか、近くのショッピングセンターを物件に持っているから投資したいとか、外国観光客向けのホテル物件を多く持つリートに投資したいとか、あるいは高齢化社会に備えてシニア向け施設に投資したいとか、そういったことであれば、個別の銘柄を自分で選んで投資するしかありません。
また、ETFとインデックスファンドの値動きを比較したところで、同じREIT指数に連動するように運用されているのであれば、同じような動きにしかなりません。
結局のところ、個別銘柄、ETF、インデックスファンドのどれが一番優れているとかはなく、それぞれの特性を理解し、それに応じた使い方をしていくのが良いと言うことです。
つまり、単純には、インデックス(指数)に、用途や地域配分、値動き、平均的な利回りなど、満足できない方は個別に選ぶ、積み立てや分配金再投資ならインデックスファンド、分配金を受け取りたいならETFが向いている、となりましょうか。
最後に、ETFやインデックスファンドで採用されている、Jリートの株価指数と、ETFの銘柄を、記載しておきます。
Jリートの株価指数
JリートのインデックスファンドやETFの場合、そのほとんどが東証REIT指数に連動するようになっています。その他にも、東証REITCore指数や野村高利回りJリート指数と言うものに連動するETFなども存在します。
東証REIT指数 | 東証に上場している不動産投資信託(リート)の全銘柄を対象とした指数。時価総額加重型。Jリート全体の動きを示す指数です。 |
---|---|
東証REIT Core指数 | 東証に上場している不動産投資信託(リート)のうち、中核をなす銘柄で構成された指数。均等加重方式。Jリートの中核(コア)となる銘柄群の動きを示す指数です。 |
野村高利回りJリート指数 | 予想分配金利回りの高い銘柄を組み入れた指数。非時価総額加重型。分配金利回りに重きを置いた指数で、「予想分配金利回りスコア×時価総額」に比例して決められる。 |
Jリートに投資するETF
具体的なJリートに投資するETFとしては、以下のものが存在します。
(※最新情報については、東証の資料などでご確認ください。)
証券コード | 銘柄名 | 連動指数 | 信託報酬(税抜) | 運用会社 | 決算日 |
---|---|---|---|---|---|
1343 | NEXT FUNDS 東証REIT指数 | 東証REIT指数 | 0.32% | 野村AM | 2,5,8,11月の各10日 |
1488 | ダイワ上場投信-東証REIT指数 | 東証REIT指数 | 0.155% | 大和投資信託 | 3,6,9,12月の各4日 |
2528 | ダイワ上場投信-東証REIT Core指数 | 東証REIT Core指数 | 0.20% | 大和投資信託 | 3,6,9,12月の各10日 |
1345 | 上場インデックスファンドJリート | 東証REIT指数 | 0.30% | 日興AM | 奇数月の各8日 |
1597 | MAXIS Jリート上場投信 | 東証REIT指数 | 0.25% | 三菱UFJ国際投信 | 3,6,9,12月の各8日 |
2517 | MAXIS Jリート・コア上場投信信 | 東証REIT Core指数 | 0.25% | 三菱UFJ国際投信 | 2,5,8,11月の各10日 |
1660 | MAXIS 高利回りJリート上場投信 | 野村高利回りJリート | 0.25% | 三菱UFJ国際投信 | 1,4,7,10月の各10日 |
1476 | iシェアーズ・コア Jリート ETF | 東証REIT指数 | 0.16% | ブラックロック | 2,5,8,11月 |
1595 | NZAM 上場投信 | 東証REIT指数 | 0.248% | 農林中金全共連AM | 1,4,7,10月の各15日 |
2527 | NZAM 上場投信 東証REIT Core指数 | 東証REIT Core指数 | 0.24% | 農林中金全共連AM | 1,7月の各15日 |
1398 | SMAM 東証REIT指数 | 東証REIT指数 | 0.22% | 三井住友AM | 3,6,9,12月の各8日 |
インデックスファンドに関しては、投信会社から、どんどんと新しいものが出てきますので、ここでの記載は省略します。各社のホームページなどでご確認下さい。
以下のページでは、比較的利回りの高いETFの分配金利回り、信託報酬などが一覧で見れます。投資対象がJリートのETFを参照して下さい。