「J-REITで不動産投資、いいねー。賃料収入、いいねー。」
と、なった貴方、
「さて、どの物件に投資しようかな?」
ここで、ちょっと待ったです。
J-REITへの投資は、具体的にこの物件と指定して投資するのではなく、その物件を保有している投資法人(銘柄)に投資すると言うことです。そして投資法人は、複数の物件を保有しているので、お気に入り物件だけでなく、興味のない物件も含めて、その投資法人が保有している物件群に投資することになります。
したがって、投資法人が、どのような種類の物件に投資するかの方針を見て、投資先を決めていくことになります。その中でも、「どんな用途の不動産を保有しているか」は、最初に気になることろです。
ここでは、まず、J-REIT銘柄選択の基本となる不動産の用途に関して、その分類と、またついでに、その景気変動の影響も押さえておきましょう。
用途別比率
一般的には、多少の呼び名の違いはあれど、(1)オフィス、(2)住居、(3)商業施設、(4)物流施設、(5)ホテル、(6)ヘルスケア施設と、大きく6種類に分類されます。
不動産証券化協会の資料によると、J-REIT全体の保有不動産の用途別保有額(取得価格ベース)の割合(2018年11月末時点)は、以下のようになっています。
オフィス | 42.6% |
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商業施設 | 17.9% |
住居 | 15.2% |
物流施設 | 15.1% |
ホテル | 7.4% | ヘルスケア施設 | 0.8% |
その他 | 1.0% |
(※上図は、J-REIT.jpより引用させて頂いています。)
このデータから分かるように、オフィス用途が最も多く、商業施設・住居・物流施設と並び、ホテルは少なめ、ヘルスケア施設はごくわずかとなっています。これがJリートの不動産の全体像であり、頭の中に置いておきましょう。
不動産の用途
オフィス
オフィスは、主に会社(法人)が事務所として使用するビルを投資対象とするものです。あくまで事務所としての用途のオフィスビルであって、商業ビルは、商業施設に分類されますので、ご注意ください。
これらオフィス用途の物件は、一般的に、景気変動の影響を受けやすいとされています。景気が良くなると、企業業績も上がるため、賃料が上がり空室率が下がりますし、景気が悪くなると、その逆で、賃料と空室率に影響が出てくるというわけです。
オフィスは、Jリートの主力物件であり、経済大国日本のビジネス拠点として企業が使用するものですので、保有しておきたい物件用途の1つです。
住居(レジデンス)
住居(レジデンス)は、主に賃貸用マンションと考えて良いでしょう。
住居系リートの中には、その他にも、学生寮や高齢者向け住宅も一部含んだりしているものもありますが、投資比率が少ないため、特別の興味がない限り、気にしないで良いでしょう。
また、シニア向け住居施設(有料老人ホームなど)を主体にしているリートは、ヘルスケア施設特化リートに分類されます。
住居系リートは、景気変動の影響を受けにくいとされています。景気により家賃や空室率が大幅に上下するわけではないため、また、入居者数も多いため、個々の入退去の影響が少なく、比較的安定していると言えます。
まさに、大家さん的な投資となるのが、この住居でしょう。近所にJリートが保有する賃貸マンションがあれば、土地勘や親近感もあり、投資したくなるかも知れません。
商業施設
商業施設は、大きくは、郊外型商業施設と都市型商業施設に分かれます。
郊外型 | 大型ショッピングセンター中心です。 郊外と言うことで、地域も東京郊外に限らず、全国主要都市の郊外にも、沢山あります。 |
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都市型 | 主に商業ビルです。 商業ビルは東京都心が多いですが、地方の主要都市に立地する商業ビルもあります。 |
郊外型商業施設は、契約期間も長期で、景気変動に影響を受けにくく、一方で、都市型商業施設は、契約期間が短く、オフィス系と同じく、景気変動に影響を受けやすいとされています。
商業施設も、近所にショッピングモールがあれば、ひょっとすると、そこはJリートが保有している物件かも知れません。それは、都内でよく行く専門店の入った商業ビルかも知れません。商業施設は、物件が華やかなで、そんな物件に投資している銘柄を保有して、人出で賑わったりしているのを見ると、きっと嬉しくなることでしょう。
物流施設
物流施設は、倉庫・物流センターなどの物流施設です。
物流施設は、近年のネット通販の拡大とともに、倉庫需要が拡大し、重要な物流機能を担うようになってきています。そのためか、単なる倉庫と言うより、先進的な物流施設が主体となっています。
一般的に、物流施設リートは、景気変動の影響はそれほど大きくなく、比較的安定とされています。
ネット通販が好きな方は、間接的には、その物流施設から、配送されてくる、なんてこともあるかも知れませんね。
ホテル
ホテルと一言に言っても、いくつかの形態があります。
Jリートで、ホテルへの投資を検討する場合、大まかには以下の3つのタイプと考えると良いでしょう。
宿泊主体・特化型 | 文字通り、宿泊することを主体にしたホテル、または、宿泊に特化したホテル。 |
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フルサービスホテル | 宿泊施設だけでなく、レストラン、宴会・会議場などのフルラインのサービスを提供するホテル。駅前や市街地近辺に立地。 |
リゾートホテル・旅館 | 観光地や景勝地などに立地し、宿泊施設、レストラン、各種会場などの付帯施設とともに、サービスを提供するホテル。 |
ホテル系リートは、あくまで、ホテルの建物を保有し、そのホテルを運営事業者(オペレーター)に貸して、賃貸収入を得るものです。従業員を雇用してサービスを提供するのは、その運営事業者であり、リートの投資法人ではありません。
一般的に、ホテルは景気変動の影響を最も受けやすく、また、観光客の動向、立地やホテル運営会社の影響を受けることが大きいとされています。また、外国人観光客が多いホテルは外国為替の影響も受けやすく、円安なると、外国人観光客が増えるとされています。いずれによ、変動が大きいことは覚悟しておいた方が良いでしょう。
日本のリート、つまり、Jリートのことですが、ホテル系には、個性的な銘柄が多いのも特徴です。日本人ならば、旅館や温泉施設を物件として保有する銘柄に投資してみても、面白いかもしれません。
ヘルスケア施設
ヘルスケア施設とは、有料老人ホーム、サービス付高齢者住宅、病院、医療モール等の施設(これらを総称して「ヘルスケア施設」と呼んでいる)のことです。
今後は、関連医療施設など、様々なタイプが物件に含まれてくる可能性もありますが、現在は、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅と考えればよいでしょう。
ヘルスケアリートも、ホテル系リートと同じく、あくまで、施設を保有しているだけで、その施設を運営事業者(オペレーター)に貸して、賃貸収入を得るものです。従業員を雇用してサービスを提供するのは、その運営事業者であり、リートの投資法人ではありません。
ヘルスケアリートは、固定賃料による長期の賃貸借契約を結ぶことが多く、中長期的に安定した賃料が期待されています。
高齢化社会には、欠かせない物件となりますので、Jリート全体枠の中では比率は少ないですが、そういう見方、また、興味のある方々にとっては、とても魅力的な用途の物件と言えます。
用途と景気変動への影響
用途別の比較として、まとめると、やはりホテルが最も景気変動の影響を受けやすく、続いて、都市型商業施設やオフィスビルも賃料等に影響を受けてきます。
比較的安定しており、影響が少ないのが、物流施設や郊外型商業施設で、さらに、住居やヘルスケア施設が最も影響を受けにくいとされています。
ただ、あまり景気の影響を気にしても仕方なく、株価や利回りに影響する要因は、他にも金利水準や需給など、たくさんあります。
また、結局のところ、様々な用途の物件、銘柄に分散投資することを考えると、全体として平均化されます。
さらに、長期で投資するとなると、良い時も悪い時もあり、平準化される、というものです。
しかも、景気変動の流れに応じて、保有物件(銘柄)を入れ替えるなど、プロでも難しいことを、一般投資家が上手く立ち回れると考えるのは、失敗の元です。
あまり難しく考え過ぎないようにしましょう。
特化型、複合型と総合型リート
物件の用途は上記の通りですが、これとは別に、J-REITの用途分類では、単一用途に特化したリートと、複数の用途の不動産に投資するリートに分類されますので、これらの用語は、Jリート投資を行う上で、覚えておきましょう。
特化型 | 単一の用途に特化したリート。 オフィス特化型、住居特化型、商業施設特化型、物流施設特化型、ホテル特化型、ヘルスケアリート特化型。 |
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複合型 | 2つの用途に投資するリート。 複合型(オフィスビル+商業施設)、複合型(物流施設+商業施設)、など。 |
総合型 | 3つ以上の用途に投資するリート。 総合型(オフィス+住居+商業施設+ホテル)、総合型(オフィスビル中心)、総合型(商業施設中心)、など。 |
総合型と言えど、各用途にバランスよく配分してくれるとは限りません。商業施設を中心にオフィスやホテルも含めて運用している総合型リートや、オフィスビル中心(90%以上)で商業施設・住宅等(10%以下)へも投資可能な用途方針としている総合型リートもあります。
複合型や総合型と言う言葉に惑わされず、それぞれの用途の配分を必ず調べるようにしましょう。
さあ、あなたにピッタリくる用途の物件リートは見つかりそうでしょうか。
以下のページで、J-REIT銘柄の用途別一覧が、利回り順で、見れます。
また、各リートの用途別配分は、上記ページより対象の銘柄を選択(クリック)して、個別ページで参照することが出来ます。