J-REIT投資入門

「J-REITの分配金って、家賃収入みたいなものだから、毎月貰えるの?」
「月の途中で買ったら、日割りなの?」

 

いやいや、そんなことはありません。

 

J-REITには、決算期と言うのもがあり、決算期末に、その銘柄を保有している人に、分配金が配分されるのです。

 

ここでは、決算期と、分配金獲得の権利日について、詳しく見ていきましょう。

 

 

決算期と権利日

J-REITで物件を運用している投資法人は、ある期間、通常は半年に1回、その期間の賃料収入や物件買付・売却の損益、掛かった費用など元に、分配金を計算する「決算」というものをやります。つまり、その期間の収入から費用を差し引いた利益を、投資家に分配金として、配分してくれるという訳です。

 

ほとんどの投資法人は、半年に1回決算を行います。

 

決算月は、投資法人により異なります。1月末と7月末に決算を行う銘柄もあれば、2月末と8月末に決算を行う銘柄もあります。すなわち、決算期のパターン的には、1月/7月、2月/8月、3月/9月、4月/10月、5月/11月、6月/12月となります。ただし、ジャパンホテルリートは1年に1回の決算(12月のみ)ですので、ご注意ください。

 

以下のページで、J-REIT銘柄と決算月の一覧が見れます。

 

分配金の権利を得るには、その決算月末に投資主(株主)である必要があります。そして、その権利を得た人に、その期間の(半年に1回の決算の場合、6か月分の)利益が分配されるというわけです。

 

では、その決算月の末日に、例えば、1月決算なら1月31日に買えば、権利が得られるかと言うと、それは、違います。

 

J-REITの売買は、一般の株式市場で行われますので、受け渡しのルールも株式市場のルールに従います。

 

【2019年7月16日(火)約定分より前】
株式市場の売買では、注文が成立した日(『約定日(やくじょうび)」と言う)の翌日から3営業日目(約定日も含めるて数えると4営業日目)(これを『受渡日(うけわたしび)』と言う)に株式を受け取ることが出来ます。この受渡日になって、やっと株主(投資主)となるわけです。なので、分配金の権利を得るには、その決算月末日の3営業日前(約定日も入れると4営業日前)までに買って、株主(投資主)となっている必要があるということです。

 

※2019年7月16日(火)から制度変更があり、受渡日が以下のように変わります。

 

変更前:『約定日の翌日から3営業日目(約定日も含めるて数えると4営業日目)』
変更後:『約定日の翌日から2営業日目(約定日も含めるて数えると3営業日目)』

 

結果として、権利付き最終日、権利落ち日が後ろに1日ズレますので、ご注意ください。

 

【2019年7月16日(火)約定分から】
株式市場の売買では、注文が成立した日(『約定日(やくじょうび)」と言う)の翌日から2営業日目(約定日も含めるて数えると3営業日目)(これを『受渡日(うけわたしび)』と言う)に株式を受け取ることが出来ます。この受渡日になって、やっと株主(投資主)となるわけです。なので、分配金の権利を得るには、その決算月末日の2営業日前(約定日も入れると3営業日前)までに買って、株主(投資主)となっている必要があるということです。

 

 

あくまで、数えるのは営業日であって、土日などの非営業日を挟む場合には注意してくださいね。下の図をご参考に。

 

【2019年7月16日(火)約定分より前】

 

【2019年7月16日(火)約定分から】

 

権利付き最終日と権利落ち

さて、ここまで理解できたところで、ついでに、分配金権利に関する株式の用語をマスターしておきましょう。

 

まず、この日までに注文が約定すれば分配金(株式の場合、配当)をもらうことが出来る売買の最終日を、『権利付き最終日』と言います。この日の取引時間中(通常は15:00まで)に注文が成立(約定)すれば、分配金を貰う権利を得ることが出来ます。その『権利付き最終日』の翌日、つまり、この日に買っても分配金は貰えませんよと言う日を『権利落ち日』と言います。そして、分配金の権利が確定する日を『権利確定日』と言います。

 

先の図に合わせて、それぞれ記載しましたので、下の図と合わせて、ご覧ください。

 

【2019年7月16日(火)約定分より前】

 

【2019年7月16日(火)約定分から】

 

「なんだ、権利付き最終日に買えば、半年分の分配金がゲットできるなら、ギリギリ、その日に買うのが得なんですよね?」

 

いえいえ、それは違います。

 

その翌日の「権利落ち日」には、理論的には、分配金に相当する分ぐらい株価が下落します。これが「権利落ち」と言うものです。

 

J-REITと言えど、株価と言うものは分配金だけで上下するわけではないですが、その他の要素を排除して理論的に考えると、「権利落ち日」の株価が最も安く、「権利付き最終日」の株価が最も高いと言うわけです。

 

そういう理由から、「権利落ち日」に好んで買う人もいます。今回の分配金権利は得られませんが、長期的に保有すれば次回以降の分配金権利が得られますので、少しでも株価が安くなった時を狙って買ったりする人もいるのです。

 

分配金権利を取るか、その銘柄を買う値段を取るか、売買のタイミングは、いろいろと難しいのです。

 

分配金は、いつ頃、入金されるのか?

さて、権利付き最終日までに、J-REIT銘柄を購入しており、決算月末(権利確定日)に保有していて、分配金の権利を得たあなた。

 

「あー、分配金の入金、まだかなー。待ち遠しいなー。」
「いったい、いつになったら、入金されるのだろう。」

 

J-REIT投資のお楽しみは、なんといっても分配金が手元に入金されること、って言うか、それが主な目的ですからね。しっかりと受け取りを確認していきましょう。

 

分配金が手に入る時期ですが、権利確定後すぐに手元に入金されるわけではありません。

 

J-REITでは、決算後に、該当期間の収益を計算し、諸々の規定や会議を経て、投資主への分配金額が確定し、やっと支払いが開始されるわけです。

 

その支払開始日は、通常は、その決算月の権利確定日から3か月後程度を目安と考えておくと良いでしょう。

 

例えば、1月末決算の銘柄であれば4月下旬頃になります。具体的な分配金支払い日は銘柄、つまりそれを運用する投資法人のスケジュールにより異なりますので、目安程度に考えておきましょう。

 

「チャリン、チャリン」。分配金の入金される音が聞こえましたか。実際に入金されると、とても嬉しいものですね。これがJリートに投資する最大のモチベーションにもなるというものです。