投資適格な社債に投資するETFの検討
米国の債券に投資するなら、米国債か、総合債券に投資することが多いでしょう。
米国ETFであれば、米国総合債券ETFである【BND】や【AGG】あたりが人気のようです。
一方で、傍らには、【LQD】や【USIG】など、投資適格な米国の社債だけに投資するETFも存在し、米国債より利回りが良いということで、インカム投資家の間では人気があるようです。
ここでは、そんな、国債ではなく、投資適格な社債に投資するETFを見て行きます。
AGGやBNDにも社債は含まれている
社債ETFを見る前に、米国総合債券ETFである【AGG】や【BND】を見てみましょう。
【AGG】や【BND】は、米国の投資適格な債券市場全体に投資するETFです。ですので、構成の多くは米国債ですが、投資適格な社債も含まれています。ただ、あくまで投資適格な信用格付けがある程度以上(トリプルB以上)の社債と言うことで、信用格付けの低いハイイールド社債(ETFで言うなれば【HYG】や【JNK】)は、含まれていません。
どれぐらい投資適格な社債が含まれているかと言うと、いろいろな資料を見ると、【AGG】や【BND】の社債の割合は、約25%ほどのようです。
それぐらいあるなら、【AGG】や【BND】だけで充分という方も多そうですが。
社債に投資する米国ETF
以下に、社債に投資する米国ETFを拾ってみました。比較のために投資適格社債ETFだけでなく、総合債券とハイイールド債も、記載しておきます。
シンボル | 銘柄 | 主な投資対象 | 経費率 |
---|---|---|---|
LQD | iシェアーズ iBoxx米ドル建て投資適格社債ETF | 投資適格社債 | 0.15% | USIG | iシェアーズ ブロード米ドル建て投資適格社債 ETF | 投資適格社債 | 0.06% | AGG | iシェアーズ コア米国総合債券市場 ETF | 総合債券 | 0.04% | HYG | iシェアーズ iBoxx米ドル建てハイイールド社債ETF | ハイイールド債 | 0.49% |
社債ETFとして有名なのが【LQD】で、経費率が0.15%です。【AGG】の経費率0.04%と比較する少し高い一方で、より高い利回りが期待できます。分配金利回りに関しては後ほど見ていきます。
同じブラックロック社から【USIG】と言う社債ETFが出ています。【USIG】は、2018年に連動対象インデックスがICE BofAML 米国社債インデックスに変更になり、経費率も0.06%へと大きく下がったようです。まだ、移行してからの実績がまだ少なく、判断の難しいところです。
AGGとLQDの利回りの推移と比較
以下の表は、【AGG】と【LQD】の過去数年分の分配金利回りを調べたデータです。
各年の利回りは、その年の分配金総額を前年末の株価で割った利回り%です。例えば、2022年であれば、2022年の年間分配金総額を、2021年12月末の終値で割った利回り%、2021年であれば、2021年の年間分配金総額を、2020年12月末の終値で割った利回り%です。すなわち、それぞれ各年の年初に買って年末まで1年間保有していた場合に獲得したインカムゲイン利回り%と言うことになります。
AGG | LQD | |
---|---|---|
2023 | 3.20% | 4.19% |
2022 | 2.03% | 2.62% |
2021 | 1.71% | 2.20% |
2020 | 2.25% | 2.86% |
2019 | 2.85% | 3.73% |
2018 | 2.64% | 3.40% |
2017 | 2.35% | 3.22% |
2016 | 2.39% | 3.43% |
2015 | 2.41% | 3.32% |
2014 | 2.48% | 3.55% |
平均 | 2.43% | 3.25% |
平均は各年の利回り%を合計して、単純に年数で割った数値です。
2023年の利回りでは、【AGG】が3.20%で【LQD】が4.19%、2022年の利回りでは、【AGG】が2.03%で【LQD】が2.62%、10年平均利回りでは、【AGG】が2.43%で【LQD】が3.25%。
どちらも株価は、債券ですので、緩い幅で、ほぼ横ばいです。ですが、しばらく前までは債券高で債券ETFの価格も少し値上がり(利回りは低下)気味でしたが、ここ最近はインフレによる金利上昇の影響で株価は下落気味ですね。債券投資もタイミングが難しい局面に入ってきたようです。
数値データとしては以上で、これをどう判断するかは、総合&安定を好むか、少しでも利回りの良い社債を好むかは、それぞれの方針や考えによることでしょう。
東証ETFでも買える米国社債ETF
さて、これまで米国ETFにて、社債投資を見てきましたが、東証ETFとしても上場されていますので、以下に拾ってみます。
コード | 銘柄 | 主な投資対象 | 為替ヘッジ | 信託報酬 |
---|---|---|---|---|
1496 | iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債ETF(H有) | 投資適格社債 | 有 | 0.28% |
1497 | iシェアーズ 米ドル建ハイイールド社債ETF(H有) | ハイイールド債 | 有 | 0.58% |
2554 | NEXT FUNDS 米国投資適格社債(1-10年)(H有) | 投資適格社債 | 有 | 0.27% |
構成銘柄を見ると、【iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債ETF(H有)】が【LQD】、【iシェアーズ 米ドル建ハイイールド社債ETF(H有)】が【HYG】となっています。
これらは、為替ヘッジ付きのETFとなっていますので、ご留意ください。為替ヘッジ付きは、人により、好みが分かれるところでしょうか。
信託報酬が元のETFの経費率より高くなりますが、東証でこのようなETFに投資できるのは、素晴らしいことですね。
また、2023年11月に、為替ヘッジ無し版のETFも東証に上場され、選択肢が広がりました。こちらのETFは信託報酬が低く抑えられています。
コード | 銘柄 | 主な投資対象 | 為替ヘッジ | 信託報酬 |
---|---|---|---|---|
2257 | iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF | 投資適格社債 | 無 | 0.09% |
2258 | iシェアーズ 米ドル建てハイイールド社債 ETF | ハイイールド債 | 無 | 0.19% |