米国総合債券ETF(AGG,BND)の10年分の分配金利回りと値動きの比較
米国の投資適格債券全体にまるっと投資できる【AGG】と【BND】。日本でも人気が高く、経費率も低く、実績も長く、誰もが認める米国総合債券ETFですね。
と、ここで迷うのが、さて、どちらを買うのが良いのでしょうか。
ここでは、過去10年の分配金利回りと株価の値動きを比較して見ることにしましょう。
過去10年の分配金実績と利回りの推移
以下の表は、各ETFの過去10年分の分配金利回りを調べたデータです。
各年の利回りは、その年の分配金総額を前年末の株価で割った利回り%です。
例えば、2022年であれば、2022年の年間分配金総額を、2021年12月末の終値で割った利回り%です。すなわち、2022年1年間ずっと保有していた場合のインカムゲイン%と言うことになります。
AGG | BND | |
---|---|---|
2022 | 2.03% | 2.20% |
2021 | 1.71% | 1.73% |
2020 | 2.25% | 2.50% |
2019 | 2.85% | 2.88% |
2018 | 2.64% | 2.73% |
2017 | 2.35% | 2.57% |
2016 | 2.39% | 2.51% |
2015 | 2.41% | 2.52% |
2014 | 2.48% | 2.87% |
2013 | 2.23% | 2.65% |
平均 | 2.33% | 2.52% |
10年平均利回りとしては、【AGG】が2.33%、【BND】が2.52%と、少し【BND】が上回りました。
過去10年の株価の値動き
では次に、それぞれの株価の値動きを見て行きましょう。
以下の表は、各ETFの過去10年分の値動きを調べたデータです。
年末株価とあるのは、各年の12月末日の終値です。
騰落率は、その年の年末株価を前年の年末株価で割った株価騰落率%です。
AGG | BND | |||
---|---|---|---|---|
年末株価 | 騰落率(前年比) | 年末株価 | 騰落率(前年比) | |
2022 | $96.99 | -14.98% | $71.84 | -15.23% |
2021 | $114.08 | -3.48% | $84.75 | -3.90% |
2020 | $118.19 | 4.94% | $88.19 | 5.05% |
2019 | $112.63 | 5.77% | $83..95 | 5.98% |
2018 | $106.49 | -2.60% | $79.21 | -2.89% |
2017 | $109.33 | 1.18% | $81.57 | 0.97% |
2016 | $108.06 | 0.05% | $80.79 | 0.04% |
2015 | $108.01 | -1.92% | $80.76 | -1.95% |
2014 | $110.12 | 3.47% | $82.37 | 2.90% |
2013 | $106.43 | -4.19% | $80.05 | -4.74% |
平均 | $109.03 | -1.18% | $81.06 | -1.38% |
債券ETFらしく、どちらも株価は、ほぼ横ばいだったのですが、2022年のインフレによる金利上昇で債券ETFの株価は一気に下落しましたね。
各年の騰落率(前年比)の平均値としては、【AGG】が-1.18%、【BND】が-1.34%で、今度は【AGG】の方が若干上回っているようです。
念のため、株価騰落率を、各年の平均ではなく、2012年末株価~2022年末株価を累計で見てみると、
AGG | BND | |
---|---|---|
2012年末株価 | $111.08 | $84.03 |
2022年末株価 | $96.99 | $71.84 | 上昇幅 | -$14.09 | -$12.19 |
上昇率 | -12.68% | -14.51% |
2022年の債券ETFの株価下落が酷く、マイナスになってしまいました。この状態で比較するのも何ですが、データに忠実に行きますと、【AGG】が-12.68%、【BND】が-14.51%で、同じく【AGG】の方が若干上回っているようです。
いずれにしても、先の分配金利回りでは、10年平均利回りが、【AGG】が2.33%、【BND】が2.52%で、その差0.19%で【BND】の勝ち、一方で10年平均騰落率(前年比)では、【AGG】が-1.18%、【BND】が-1.38%で、その差-0.20% で今度は【AGG】の勝ちですので、これで互角といったところでしょうか。
両者の比較としては、同じような値動きをするものであり、誤差程度と考えて良いかも知れません。それよりも、金利上昇による債券価格の今後の動向の方が気になります。
AGGとBNDに大差なし
大雑把な比較ではありますが、上で見てきた通り、過去10年分の比較としては、【AGG】と【BND】に大差なしと言うことになりましょうか。
最後に、ここで取り上げる必要もないでしょうが、連動対象の指数と経費率についても、見ておきましょう。
AGG | BND | |
---|---|---|
連動指数 | ブルームバーグ・バークレイズ米国総合債券インデックス | ブルームバーグ・バークレイズ米国総合浮動調整インデックス |
経費率 | 0.04% | 0.035% |
連動指数に関しては、両者とも米国の投資適格債券全体に連動するインデックスとなっており、【BND】の方が「浮動調整」となっています。これは、政府等が(固定的に)保有する債券をベンチマークの時価総額構成比率から控除した浮動債券指数です。あまり細かいことは気にしても仕方ないので、ほぼ同じと考えて良いでしょう。
経費率に関しても、ほぼ同じです。【AGG】の報酬免除後の経費率に関しては、ブラックロック社のホームページをご覧ください。
個々の銘柄の詳細、また、最新の利回りについては、以下のページを参照してください。