米国ETF分析コラム

PFFとPFFDの分配金利回りと株価騰落率の比較

米国の優先株に投資できるETFである【PFF】。インカムゲイン投資家の間ではかなり有名なETFです。

 

また、最近では、同じく米国優先株に投資できるグローバルエックス社の【PFFD】も人気を集めているようです。

 

ここでは、それぞれのETFについて、上場来のデータをかき集め、分配金の推移や利回りを比較して行きましょう。

 

また、ついでに、株価値上がり率も調べ、配当利回り(インカムゲイン)だけでなく、値上がり率%(キャピタルゲイン)も含めて比較してみましょう。

 

PFFとPFFDの指標と信託報酬の違い

まずは、概要です。連動指数が微妙に異なるのと、やはり気になるのは、「経費率」です。

 

PFF】が0.46%に対して、【PFFD】が0.23%とかなり安いです。後述しますが、これが利回りに少し影響を与えている感じがします。

 

シンボル PFF PFFD
銘柄 iシェアーズ 優先株式 & インカム証券 ETF グローバルX 米国優先証券 ETF
運用会社 ブラックロック グローバルエックス
連動指数 ICE 上場優先株式 & ハイブリッド証券 インデックス(*1) ICE BofAML・ダイバーシファイド・コア・米国優先証券・インデックス
上場日 2007/03/26 2017/09/11
経費率 0.46% 0.23%

 

(*1) PFFの連動対象指数は、2019/2/1以前は、S&P米国優先株式インデックスだったのが変更になった。

 

それでは、分配金と株価、利回り推移を順に見て行きましょう。まずは、【PFF】です。

 

PFF - 分配金実績と配当利回りの推移

以下の表は、【PFF】の設定来の年間分配金実績と各年の年末株価、利回りを調べたデータです。

 

各年の分配金利回りは、その年の分配金総額を前年末の株価で割った利回り%です。
例えば、2023年であれば、2023年の年間分配金総額を、2022年12月末の終値で割った利回り%です。すなわち、2023年1年間ずっと保有していた場合のインカムゲイン%と言うことになります。

 

PFF
分配金利回り 年間分配金 年末株価
2023 6.77% $2.07 $31.19
2022 4.65% $1.84 $30.53
2021 4.56% $1.76 $39.43
2020 4.93% $1.85 $38.51
2019 5.84% $2.00 $37.44
2018 5.68% $2.16 $34.23
2017 5.72% $2.13 $38.07
2016 5.61% $2.18 $37.21
2015 5.68% $2.24 $38.85
2014 6.76% $2.49 $39.44
2013 6.14% $2.43 $36.83
2012 6.69% $2.38 $39.62
2011 6.41% $2.49 $35.62
2010 7.75% $2.84 $38.80
2009 9.89% $2.89 $36.70
2008 6.65% $2.76 $29.21
2007 $41.50
平均 6.23% $2.28 $36.66

 

株価は、ほぼ横這いでしたが、2022年の金利上昇による大幅下落がありました。やはり米国の金利水準の影響を大きく受けるようです。逆に、分配金利回りとしては上昇しています。(分配金はほぼ変わらずとも、利回り計算の分母である株価が小さくなっているため。)

 

続いて、【PFFD】を見て行きましょう。

 

PFFD - 分配金実績と配当利回りの推移

以下の表は、【PFFD】の設定来の年間分配金実績と各年の年末株価、利回りを調べたデータです。

 

PFFD】は、2017/09/11に設定されたETFであるため、まだデータが少ないです。

 

PFFD
分配金利回り 年間分配金 年末株価
2023 6.50% $1.26 $19.40
2022 4.98% $1.28 $19.37
2021 4.66% $1.26 $25.76
2020 5.33% $1.34 $25.80
2019 6.08% $1.37 $25.03
2018 5.62% $1.40 $24.78
2017 $24.88
平均 5.53% $1.32 $23.57

平均は各年の利回り%を合計して年数で割った単な平均数値です。

 

それでは、お待ちかね、次に、【PFF】と【PFFD】を並べて比較します。

 

PFFとPFFDの利回りの比較

以下の表は、【PFF】と【PFFD】の過去6年分の分配金利回りです。

 

PFFD】の上場が、2017年9月であるため、年間比較でみると6年分しかないのが少し残念ですが。

 

PFF vs PFFD
PFF PFFD
2023 6.77% 6.50%
2022 4.65% 4.98%
2021 4.56% 4.66%
2020 4.93% 5.33%
2019 5.84% 6.08%
2018 5.68% 5.62%
平均 5.41% 5.53%

平均は各年の利回り%を合計して、単純に年数(6)で割った数値です。

 

平均で比較すると、【PFF】が5.41%、【PFFD】が5.53%と、【PFFD】の方が高い結果となりました。この辺りが前述の経費率の差でしょうか。

 

各年別で見ると、【PFFD】の4勝2敗、2018年と2023年は【PFF】の方が上回りました。

 

それでは最後に、各年毎の比較や平均では、よく分からないため、6年間の総計で、比較してみることにしましょう。

 

PFFとPFFDの6年間の値上がり率(キャピタルゲイン)と分配金総額利回り(インカムゲイン)を比較

以下の表では、2017年12月末日~2023年12月末日までの、6年間について、
・6年間の値上がり幅と値上り率
・6年分の分配金総額と利回り
・6年分の値上り率と分配金利回り
すなわち、6年間ずっと保有していた場合の、インカムゲインとキャピタルゲインの比較データです。

PFF PFFD
6年分の値上り(キャピタルゲイン)
2017年末株価 $38.07 $24.88
2023年末株価 $31.19 $19.40
6年値上がり幅(*1) -$6.88 -$5.48
6年前からの値上がり率(*2) -18.07% -22.03%
6年分の分配金(インカムゲイン)
6年分配金総額 $11.68 $7.91
5年分配金利回り(*3) 30.68% 31.79%
6年分の値上り+分配金(キャピタルゲイン+インカムゲイン)
6年間配当込みゲイン(*4) 12.61% 9.77%

*1: 2023年末株価 - 2017年末株価
*2: 6年値上がり幅 ÷ 2017年末株価
*3: 6年分配金総額 ÷ 2017年末株価
*4: 6年前からの値上がり率 + 6年分配金利回り

 

なお、この表は、分配金を再投資した結果ではないので、そのあたりはご承知おき下さい。

 

上の表の通り、5年間の総利回りとしては、【PFF】が12.61%、【PFFD】が9.77%と、【PFF】が2.84%上回る結果となりました。【PFFD】の方が、2022年のインフレ金利上昇による影響を大きく受けたようです。

 

個々の銘柄の詳細、また、最新の利回りについては、以下のページを参照してください。