米国ETF分析コラム

米国高配当ETF(VYM,HDV,SPYD)の配当利回り推移と配当込みリターンの比較

米国高配当ETFとして人気の【VYM】や【HDV】、さらに、最近話題が多くなってきた【SPYD】も興味津々といったところです。

 

これら高配当ETFは、過去の実績として、どれぐらいの分配金が支払われてきたのでしょうか。

 

ここでは、過去数年間の分配金および利回りの推移を調べたましたので、見てきましょう。

 

また、ついでに、株価値上がり率も調べ、分配金利回り%(インカムゲイン)だけでなく、値上がり率%(キャピタルゲイン)も比較してみましょう。

 

過去の分配金実績と利回りの推移

以下の表は、各ETFの過去数年分の分配金利回りを調べたデータです。

 

各年の利回りは、その年の分配金総額を前年末の株価で割った利回り%です。

 

例えば、2022年であれば、2022年の年間分配金総額を、2021年12月末の終値で割った利回り%です。すなわち、2022年1年間ずっと保有していた場合のインカムゲイン%と言うことになります。

VYM HDV SPYD
2022 2.90% 3.68% 4.72%
2021 3.38% 4.00% 4.70%
2020 3.11% 3.65% 4.16%
2019 3.64% 3.80% 5.13%
2018 3.09% 3.43% 4.32%
2017 3.17% 3.59% 4.08%
2016 3.30% 3.68% 5.17%
2015 3.13% 3.76%
2014 3.06% 3.49%
2013 3.54% 3.80%
平均 3.23% 3.69% 4.61%

平均は各年の利回り%を合計して、単純に年数で割った数値です。

 

分配金だけを見た、単純算出の平均利回りとしては、【SPYD】が大きく、続いて【HDV】、最後に【VYM】の順番となっています。

 

このあたりは、【SPYD】の構成銘柄にはREIT(不動産投資信託)が含まれていることや、ここ数年の米国株高が影響しているのかも知れません。

 

利回り計算式は「分配金÷株価」で、株価が分母です。分母である株価が、分配金(配当)の増配率より高く値上りすれば、利回りは下がることになります。このあたりがどう影響して、どう判断するか、難しいことろです。

 

VYM】と【HDV】は、主に構成銘柄の違いから、このような結果となっていると推測されます。

 

各ETFの詳細な分析までは、ここでは行いませんが、データとしては、このようになっています。

 

せっかくなので、分配金利回りだけでなく、値上がり率も、合わせて見ておくことにしましょう。

 

過去数年間の値上がり率(キャピタルゲイン)と分配金総額利回り(インカムゲイン)を比較

ここでは、過去数年間の値上り率と分配金利回りを見て参りましょう。

 

10年間分ぐらい見たいところですが、【VYM】は2006年が設定日、【HDV】は2011年が設定日なのですが、【SPYD】は2015年からの上場と言うことで、10年分のデータはありません。そこで、
(1).【VYM】、【HDV】および【SPYD】の7年間
(2).【VYM】と【HDV】の10年間

に分けて、見てみましょう。

(1). VYM,HDV,SPYDの過去7年間の値上がり率(キャピタルゲイン)と分配金総額利回り(インカムゲイン)を比較

以下の表では、2015年12月末日~2022年12月末日までの、7年間について、
・7年間の値上がり幅と値上り率
・7年分の分配金総額と利回り
・7年分の値上り率と分配金利回り
すなわち、7年間ずっと保有していた場合の、インカムゲインとキャピタルゲインの比較データです。

【VYM,HDV,SPYDの7年間の値上り+分配金(キャピタルゲイン+インカムゲイン)】
VYM HDV SPYD
7年分の値上り(キャピタルゲイン)
2015年末株価 $66.75 $73.41 $29.26
2022年末株価 $108.21 $104.24 $39.58
7年値上がり幅(*1) $41.46 $30.83 $10.32
7年前からの値上がり率(*2) 62.11% 42.00% 35.27%
7年分の分配金(インカムゲイン)
7年分配金総額 $19.35 $22.75 $11.47
7年分配金利回り(*3) 28.99% 30.99% 39.20%
7年分の値上り+分配金(キャピタルゲイン+インカムゲイン)
7年間配当込みゲイン(*4) 91.10% 72.99% 74.47%

*1: 2022年末株価 - 2015年末株価
*2: 7年値上がり幅 ÷ 2015年末株価
*3: 7年分配金総額 ÷ 2015年末株価
*4: 7年前からの値上がり率 + 7年分配金利回り

 

なお、この表は、分配金を再投資した結果ではないので、そのあたりはご承知おき下さい。

 

分配金利回りでは、相変わらず、【SPYD】、【HDV】、【VYM】の順ですが、値上がり率を加味すると、【VYM】が大きく逆転しました。ここ数年は米国株が大きく値上がりしていますので、値上がり益も期待できる【VYM】が有利だったと言えそうです。

 

(2). VYM,HDVの過去10年間の値上がり率(キャピタルゲイン)と分配金総額利回り(インカムゲイン)を比較

さらに、以下の表では、2012年12月末日~2022年12月末日までの、10年間について、同じように調べてみました。

【VYM,HDVの10年間の値上り+分配金(キャピタルゲイン+インカムゲイン)】
VYM HDV
10年分の値上り(キャピタルゲイン)
2012年末株価 $49.38 $58.76
2022年末株価 $108.21 $104.24
10年値上がり幅 $58.83 $45.48
10年前からの値上がり率 119.14% 77.40%
10年分の分配金(インカムゲイン)
10年分配金総額 $25.26 $30.31
10年分配金利回り 51.15% 51.58%
10年分の値上り+分配金(キャピタルゲイン+インカムゲイン)
10年間配当込みゲイン 170.29% 128.98%

 

過去10年間の実績を見ると、分配金利回り(インカムゲイン)ではほぼ互角、上がり率(キャピタルゲイン)では【VYM】が上回り、結果として総額では【VYM】の方がより多くのゲインを得た結果となっています。

 

数年前までは、【VYM】より【HDV】の方が株価が高かったんですね。

 

また、この表を見ると、【VYM】も【HDV】も、さらには【SPYD】も、配当だけでなく、値上がり益も期待出来るETFであるという結果となっています。

 

あくまで、ここ数年の実績データでの話ですので、このままの傾向がそのまま続く保証はありませんし、こればかりは予想できませんが。。。

 

個々の銘柄の詳細、また、最新の利回りについては、以下のページを参照してください。