米国高配当ETF(VYM,HDV,SPYD)の配当利回り推移と配当込みリターンの比較
米国高配当ETFとして人気の【VYM】や【HDV】、さらに、最近話題が多くなってきた【SPYD】も興味津々といったところです。
これら高配当ETFは、過去の実績として、どれぐらいの分配金が支払われてきたのでしょうか。
ここでは、過去数年間の分配金および利回りの推移を調べたましたので、見てきましょう。
また、ついでに、株価値上がり率も調べ、分配金利回り%(インカムゲイン)だけでなく、値上がり率%(キャピタルゲイン)も比較してみましょう。
過去の分配金実績と利回りの推移
以下の表は、各ETFの過去数年分の分配金利回りを調べたデータです。
各年の利回りは、その年の分配金総額を前年末の株価で割った利回り%です。
例えば、2021年であれば、2021年の年間分配金総額を、2020年12月末の終値で割った利回り%です。すなわち、2021年1年間ずっと保有していた場合のインカムゲイン%と言うことになります。
VYM | HDV | SPYD | |
---|---|---|---|
2021 | 3.38% | 4.00% | 4.76% |
2020 | 3.11% | 3.65% | 4.16% |
2019 | 3.64% | 3.80% | 5.13% |
2018 | 3.09% | 3.43% | 4.32% |
2017 | 3.17% | 3.59% | 4.08% |
2016 | 3.30% | 3.68% | 5.17% |
2015 | 3.13% | 3.76% | |
2014 | 3.06% | 3.49% | |
2013 | 3.54% | 3.80% | |
2012 | 3.52% | 3.77% | |
平均 | 3.29% | 3.70% | 4.59% |
平均は各年の利回り%を合計して、単純に年数で割った数値です。
分配金だけを見た、単純算出の平均利回りとしては、【SPYD】が大きく、続いて【HDV】、最後に【VYM】の順番となっています。
このあたりは、【SPYD】の構成銘柄にはREIT(不動産投資信託)が含まれていることや、ここ数年の米国株高が影響しているのかも知れません。
利回り計算式は「分配金÷株価」で、株価が分母です。分母である株価が、分配金(配当)の増配率より高く値上りすれば、利回りは下がることになります。このあたりがどう影響して、どう判断するか、難しいことろです。
【VYM】と【HDV】は、主に構成銘柄の違いから、このような結果となっていると推測されます。
各ETFの詳細な分析までは、ここでは行いませんが、データとしては、このようになっています。
せっかくなので、分配金利回りだけでなく、値上がり率も、合わせて見ておくことにしましょう。
過去数年間の値上がり率(キャピタルゲイン)と分配金総額利回り(インカムゲイン)を比較
ここでは、過去数年間の値上り率と分配金利回りを見て参りましょう。
10年間分ぐらい見たいところですが、【VYM】は2006年が設定日、【HDV】は2011年が設定日なのですが、【SPYD】は2015年からの上場と言うことで、10年分のデータはありません。そこで、
(1).【VYM】、【HDV】および【SPYD】の6年間
(2).【VYM】と【HDV】の10年間
に分けて、見てみましょう。
(1). VYM,HDV,SPYDの過去6年間の値上がり率(キャピタルゲイン)と分配金総額利回り(インカムゲイン)を比較
以下の表では、2015年12月末日~2021年12月末日までの、6年間について、
・6年間の値上がり幅と値上り率
・6年分の分配金総額と利回り
・6年分の値上り率と分配金利回り
すなわち、6年間ずっと保有していた場合の、インカムゲインとキャピタルゲインの比較データです。
VYM | HDV | SPYD | |
---|---|---|---|
6年分の値上り(キャピタルゲイン) | |||
2015年末株価 | $66.75 | $73.41 | $29.26 |
2021年末株価 | $112.11 | $100.99 | $42.05 |
6年値上がり幅(*1) | $45.36 | $27.58 | $12.79 |
6年前からの値上がり率(*2) | 67.96% | 37.57% | 43.71% |
6年分の分配金(インカムゲイン) | |||
6年分配金総額 | $16.10 | $19.03 | $9.48 |
6年分配金利回り(*3) | 24.12% | 25.92% | 32.40% |
6年分の値上り+分配金(キャピタルゲイン+インカムゲイン) | |||
6年間配当込みゲイン(*4) | 92.07% | 63.49% | 76.11% |
*1: 2021年末株価 - 2015年末株価
*2: 6年値上がり幅 ÷ 2015年末株価
*3: 6年分配金総額 ÷ 2015年末株価
*4: 6年前からの値上がり率 + 6年分配金利回り
なお、この表は、分配金を再投資した結果ではないので、そのあたりはご承知おき下さい。
分配金利回りでは、相変わらず、【SPYD】、【HDV】、【VYM】の順ですが、値上がり率を加味すると、順番が逆転しました。ここ数年は米国株が大きく値上がりしていますので、値上がり益も期待できる【VYM】が有利だったと言えそうです。
(2). VYM,HDVの過去10年間の値上がり率(キャピタルゲイン)と分配金総額利回り(インカムゲイン)を比較
さらに、以下の表では、2011年12月末日~2021年12月末日までの、10年間について、同じように調べてみました。
VYM | HDV | ||
---|---|---|---|
10年分の値上り(キャピタルゲイン) | |||
2011年末株価 | $45.26 | $55.50 | |
2021年末株価 | $112.11 | $100.99 | |
10年値上がり幅 | $66.85 | $45.49 | |
10年前からの値上がり率 | 147.70% | 81.96% | |
10年分の分配金(インカムゲイン) | |||
10年分配金総額 | $23.50 | $28.68 | |
10年分配金利回り | 51.92% | 51.68% | |
10年分の値上り+分配金(キャピタルゲイン+インカムゲイン) | |||
10年間配当込みゲイン | 199.62% | 133.64% |
過去10年間の実績を見ると、分配金利回り(インカムゲイン)ではほぼ互角、上がり率(キャピタルゲイン)では【VYM】が上回り、結果として総額では【VYM】の方がより多くのゲインを得た結果となっています。
数年前までは、【VYM】より【HDV】の方が株価が高かったんですね。
また、この表を見ると、【VYM】も【HDV】も、さらには【SPYD】も、配当だけでなく、値上がり益も期待出来るETFであるという結果となっています。
あくまで、ここ数年の実績データでの話ですので、このままの傾向がそのまま続く保証はありませんし、こればかりは予想できませんが。。。
個々の銘柄の詳細、また、最新の利回りについては、以下のページを参照してください。