配当株投資入門

まず、最初に、言葉が耳慣れない方のために、おさらいをしておきましょう。

 

インカムゲインとは、その資産を保有しているだけで、継続して得られる現金収入のことです。例えば、定期預金の利息、不動産の家賃収入、株式の配当などです。

 

キャピタルゲインとは、その資産の価格が変動して得られる値上がり益のことです。例えば、株式や不動産の売却益のことです。価格が上がって売却できるとは限らないので、値下がりして損失となった場合は、キャピタルロスになりますが、ここでは細かいことを言わずに、まとめてキャピタルゲインとしましょう。

 

配当株投資にとっては、保有する株式から得られる配当がインカムゲインです。ずっと保有していれば、そのままインカムゲインを貰い続けるだけですが、ここは何かの理由でいずれ売却したとして、その売買損益がキャピタルゲインとなります。

 

インカムゲイン派とキャピタルゲイン派

さて、あなたは、インカムゲイン派でしょうか。キャピタルゲイン派でしょうか。

 

「せっかく株式投資をするんだから、インカムゲインじゃ物足りないよ。やっぱりキャピタルゲインだよ。」

 

「キャピタルゲインなんて、売ってしまえば、その一回切りでしょ。インカムゲインなら、何回も、ずーっと配当貰い続けることが出来るよ。」

 

「不動産投資みたいに、家賃収入を得ながら、なんだかバブルで値上がりしたら、いっそのこと売却しちゃう考えと同じじゃない。」

 

「インカムゲインを貰いながら、大きく値上がりしたら、売却してキャピタルゲインでいいんじゃない。」

 

「そんなに頻繁に売買しないから、インカムゲイン主体だよ。一時的な売却でキャピタルゲインを手にして、別の銘柄に乗り換えても、その銘柄が上手く行くとは限らないからね。」

 

「1年に数回は、何らかの理由で、どれかの銘柄で売買があるので、全体ではじっとインカムゲインもらいながら、時々個別でキャピタルゲインが発生するって感じかな。」

 

通常の株式投資であれば、キャピタルゲイン狙いが主体となりましょうが、こと配当株投資となると、インカムゲインとキャピタルゲインが入り乱れて、どちらか一方だけとか、そう単純には行かないようです。

 

いくつかのタイプに分類して、いろいろと見ていきましょう。
① とにかく配当収入重視派
② キャピタルゲインに敗れて、インカムゲイン主体派
③ トータルリターン派

 

とにかく配当収入重視派

「とにかく配当収入重視派」の方は、とにかく安定配当収入を好みます。

 

「年間受取配当収入」が重要なのであって、値上がり・値下がりによる「含み損益」は、あまり重視しない傾向にあります。もちろん、含み損益も気にはなるのでしょうが、手持ちの配当株を売却してしまうと、配当収入が減るわけで、下手に売買しないことでしょう。

 

配当金生活をしている方や、資産運用として配当株への投資を1つの収入の柱として捉えている方にとっては、収入が減ることは避けたいわけですから、別に値上がりしてくれなくても、安定的な配当収入を好む傾向にあるというわけです。

 

銘柄の選択に関しても、安定した収入基盤を持つストックビジネスを好みます。ストックビジネスとは、顧客や契約を一定数確保して継続的に収入を得るスタイルのビジネスで、通信・電力・ガスなどのインフラ事業、会費制ビジネス、不動産賃貸などが代表例です。一方で、景気に敏感な銘柄や業績連動の配当政策を取る銘柄は、配当金額が不安定なため、あまり好まれません。また、良好な財務基盤で自己資本にも余裕があり、安心して保有していられる、減配リスクも少ない銘柄が安定的な配当を出してくれることを好みます。

 

キャピタルゲインに敗れて、インカムゲイン主体派

株式投資の世界に足を踏み入れた以上、最初は、自分で買った銘柄の値上がり、つまり、キャピタルゲインを狙うのではないでしょうか。

 

ところが、そんなに甘い世界ではありません。値上がり(値下がり)を狙ったところで、上手く行かないわけです。相場の波に振り落とされて、底値で投げて損失となり、もう少し我慢して持っていればと、悔しい思いをするわけです。これぞと思って買った銘柄の業績が軌道に乗らず、ずるずると値下がりして、塩漬け株となるわけです。

 

キャピタルゲインには、ゲイン(利益)だけでなく、ロス(損失)もあります。お金の損失は、精神的にきつく、ここで相場の世界から離れていく方も多くいることでしょう。あるいは、もう少しゆっくりとミドルリスクぐらいでとか。あるいは、銀行預金に置いておいても利子ほ無いに等しいし、配当株にでも投資するかと。

 

ここで晴れて、インカムゲイン派となりました。

 

このような方は、もちろん配当目的で、配当に着目てして株式投資を行うわけですが、一方で、あまり安定配当収入に拘ることはなく、大きく値上がりすれば売却して、キャピタルゲインを得たりします。

 

キャピタルゲイン狙いの時と違い、相場の波に振り落とされることもなく、配当を出せるだけの業績などを調べて銘柄を選んでいるので塩漬けになることもなく、インカムゲイン(配当)を貰いながら、数年保有していると、随分と値上がりして、キャピタルゲイン(売却益)も得たというのは、良くある話です。

 

また、配当金が貯まってくると、また別の新しい配当株銘柄を探して、投資することもあるでしょう。なんだか、こちらの方が、すっかり株式投資という感じになってきましたか。

 

 

トータルリターン派

あなたは、どのような配当株を買いたいでしょうか。

 

「業績も好調で、財務体質が安定しており、相応に割安な株価位置にある。。。」

 

これは、配当株投資に限った話ではなく、一般的な株式投資としても好まれる銘柄です。配当株では、ここにさらに、「配当が良く」という条件が加わる程度でしょう。

 

何が言いたいかと申しますと、こちらが「配当株」と言う視点で見ていても、別の方は「割安株」、別の方は「優良株」といった視点で見ているかも知れません。つまり、銘柄は、かぶるのです。

 

銘柄選択をする上で、様々な評価ポイントがありますが、「配当」もその1つです。その配当をどれだけ重視するかの問題で、かなり重視すれば配当株となりましょうが、少し重視する程度では、他の割安株や優良株投資となるかも知れません。つまり、結局は、程度の問題とも言えます。割安株や優良株に投資していても、配当(インカムゲイン)は期待されることでしょう。

 

これらをひっくるめて、「中長期の株式投資」としたとして、配当もその評価ポイントの1つとなります。配当が、おまけ程度なのか、しっかりとしたインカムゲインとして、キャピタルゲインと合わせて考えられるかは、程度の問題となりましょう。

 

すなわち、キャピタルゲインとインカムゲインを合わせて、トータルリターンの世界となるわけです。

 

あなたに合った投資スタンスを...

 

さて、いろいろと見てきましたが、投資は、人それぞれ、ぴったりと当てはまるものではないでしょう。

 

あなたの場合、どのような投資スタンスでしょうか。

 

あなたの軸は、ブレないで、いられますか。

 

あなたの投資スタイルは、あなたに合っていますか。